羊毛を手で紡いで糸にする「ホームスパン」や、着物や布団などの古布を裂いて再利用する「裂き織」など、昔ながらの布織物の技術が今も受け継がれている岩手。手仕事ならではの素朴で優しい風合いと、使うほどに柔らかくなっていく肌触りが魅力です。
今や、全国生産額の約8割を占める岩手のホームスパン。元々は英国のスコットランドやアイルランドが発祥ですが、明治時代にイギリス人宣教師によって伝わったと言われています。今では英国でもほとんど生産されなくなったそうですが、岩手にはいくつかの工房があり、中にはパリコレに登場したものも。ちなみに、裂き織工房「幸呼来Japan」の裂き織も、「アンリアレイジ」「オニツカタイガー」など数々のブランドとコラボしているんですよ。
ホームスパンのストールを何年も愛用しています。色合いや生地の優しい風合いが好き。いつか、ホームスパンの生地でジャケットやコートを仕立てるのが夢です。
「裂き織」って、ちょっと古臭いイメージだったけど、今はおしゃれなものが出てますよね。布の有効利用という面からもエコだし、大事にしたい文化だなと思います。
洗毛から染色、紡ぎ、糸にするkayokoと、その糸をデザインし織るtsugumiが全ての工程を手作業で製作するメーメーホームスパン。デザインにこだわり、一点もののあたたかさは、日々のくらしに、やさしさを届けてくれます。
大切に育てられた岩手の羊や、遥か海外の羊から刈り取られた羊毛は、多くの人の手を経て私の元へやってきます。そして紡ぎ織られて布になり、新たな使い手の元へと旅立っていく。その先々で人の体や心を温めてくれる羊の道のりは、まるで果てのない旅路のようです。羊の旅が、そこに偶然にも居合わせた人の人生が、どうか温かく幸せなものでありますように。そう願いを込めて、“旅する羊”の名前が生まれました。